So-net無料ブログ作成

『昨夜のカレー、明日のパン』 木皿泉 [読書]

七年前、二十五才という若さで
あっけなく亡くなってしまった一樹。
結婚からたった二年で遺されてしまった嫁テツコと、
一樹の父・ギフは今も一緒に暮らしている。
大きな銀杏の木がある古びた一軒家で。

「どーしても、納得できなくて」
納骨のときにくすねた一樹の骨。
七年たってテツコはお墓に返すことに決めた。

「テツコさん、これ、手放して
一樹のこと忘れてしまわないの?」
という問いかけにテツコは迷いなく答えます。
「死ぬまで忘れない」

一樹が死んでしまったとき、
「忘れない」とずっと思っていられるか
少しだけ不安だったのかもしれない。
だから「骨」が必要だった。
でも、もうそれがなくても揺らぐことはないのでしょうね。
「死ぬまで忘れない」

そして一樹のいない世界で生きていく。

「夕子」と「一樹」のモノローグの作品があります。
夕子とギフ、一樹とテツコの出会いが描かれています。
こんなふうに生きていた人だったのですね。

「自分は、今、間違いなく生きている」

短い生涯だったけどそう思える一瞬があって
本当によかった。

大島弓子さんの「きゃべつちょうちょ」を思い浮かべました。

line3-1.gif

木皿泉さんの脚本が大好きなので
ドラマ化された作品もBSで見てました。
小説はそれ自体で完成したもののはずだけど
ドラマを見たあとに読むとどうしても
断片の寄せ集めのように感じてしまう。
量が違うのだからしかたないのだけど。

ドラマでは一樹の骨を手放すまでの
テツコの心情が丁寧に描かれていて
物語の大きな軸になっていました。

「手放すっていうのはさ、裏切るんじゃないよ。
生きる方を選ぶってことだよ」

ドラマでジーンときたのは、
地上に戻れるチケットは三枚しかないのに
テツコの悲鳴を聞き、一樹が
ためらいもなく使ってしまう場面。
最終回でテツコの背中をそっと押すように
言葉をかけるところもよかったな。

本を読んで、「ムムム」がいきなり笑っていて
びっくりした。
ドラマではずいぶん時間がかかっていたから。
笑えないけど笑っているようなビミョーな顔。
ミムラの演技が絶妙でした。

木皿泉の作品に出てくる生真面目な女性が大好きです。
「山ガール」を演じた吉田羊もぴったりでした。

「良いイメージをもつ」
という自筆の標語を部屋にはってある岩井さん。
「ほんとうに 美しいもの」
あるかもねって思わせてくれました。
溝端淳平くんは木皿作品に合ってますね。
「ドブコ」の堀北真希の相手役もよかったな。

テツコもギフも一樹もキャスティングが見事でした。

民放よりもNHKのほうが
木皿泉さんを生かせるのかもしれないなどと思いました。

昨夜のカレー、明日のパン

昨夜のカレー、明日のパン

  • 作者: 木皿 泉
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2013/04/19
  • メディア: 単行本

昨夜のカレー、明日のパン Blu-ray BOX

昨夜のカレー、明日のパン Blu-ray BOX

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2015
  • メディア: Blu-ray



タグ:木皿泉
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(2) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 2

コメントの受付は締め切りました
sknys

miyucoさん、こんにちは。
木皿泉は男性だと思っていましたが、現在は夫婦2人(和泉努・妻鹿年季子)の共同ペンネームなのね。
朝日新聞のインタヴュー記事(2013)で知りました。
「男女の共作」なんだから、著者の性別に拘るのはナンセンスだと自戒‥‥そもそも性差を超えているわけだし^^

『昨夜のカレー、明日のパン』は予約数がハンパない^^;
by sknys (2015-02-08 17:16) 

miyuco

sknysさん、こんばんは。
私は逆に木皿泉は女性だと思っていました。
大島弓子さんが見え隠れするような気がしたので。
でもこれもナンセンスですね。
男性の大島弓子ファンも多いですから。

辺境の地に住んでいると図書館の順番は
わりと早く回ってくるので嬉しいです^^
by miyuco (2015-02-15 22:02) 

トラックバック 2