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『蜜蜂と遠雷』 恩田陸 [読書]

恩田陸先生、直木賞受賞おめでとうございます!

『蜜蜂と遠雷』
おもしろかったです。
特に前半部分。
これぞオンダリクって感覚を
久しぶりに味わってうれしかった。
(スイマセン、ここしばらくは読んでいなかったので)

舞台はピアノコンクール。
さまざまな才能を目の当たりにして
刺激を受け、自らを見つめなおし、
成長していくコンテスタントたち。
若い彼らの変化が愛おしいです。

数か月前に世を去った伝説的な音楽家
ユウジ・フォン=ホフマン
亡くなる前に残した謎の言葉。
「僕は爆弾をセットしておいたよ。」
ホフマンの推薦状を手に現れた少年。
「演奏活動歴もなく、音楽学校にいたわけでもない。
まさに、海のものとも山のものともつかぬ存在」

恩田陸お得意の謎めいた仕掛けが発動する。
物語が始まります。

かつて天才少女として脚光を浴びていた亜夜。
どこか心ここにあらずで曖昧な印象の彼女の描写が
とてもうまいと感じました。
くっきりした輪郭へと劇的に変化する過程が好きです。
「素晴らしいピアノを弾きたい」
亜夜は本来あるべき居場所をもう一度見つけた。


亜夜にそっとよりそいながら、
自らを問い続ける奏。

内なるものを確信した明石。
「続けたい。弾き続けたい。」
「音楽家でありたい。」

このふたりも好感が持てます。
一歩ひいたところにいる登場人物も
きちんと魅力的に描いているところが
恩田さんらしいです。

音楽を言葉で表現する。
多彩な表現が繰りひろげられて見事です。
しかしマサルの三次予選のメイン・ディッシュ
リストのピアノ・ソナタロ短調の長大なドラマになると
いささか辟易・・・
審査員である三枝子やナサニエルの視点が
はさみこまれると物語が引き締まります。

風間塵には「ピアノの森」のイメージが重なる。
「森に捨てられたピアノを
オモチャ代わりにして育った一ノ瀬 海(イチノセ カイ)」

直木賞選考委員・浅田次郎の講評

「想像力が非常に豊かなので、
ともすると言葉の洪水になって、
テーマがそれてしまったりする。
今回は散らからずに、畳んでくれた。
結末の予想はついたが、
ヘンなことしないで終わってくださいよ、
と思っていたら、終わってくれた。
見事な着地でした。」

私がブログを始めた10年ほど前には
恩田陸を愛読しているファンの方たちが
すでに大勢いて
「散らからずに畳んでほしい」
「へんなことはしないでほしい」
という感想をよく見かけました。
恩田さんは『夜のピクニック』にさえ
ミステリーやホラーの要素をいれようと
当初は思っていたそうです。
(入れないでくれてよかった!)
浅田先生は恩田陸のよき理解者でいらっしゃいますね。

以下、登場人物のおぼえがき


養蜂家の父とともに各地を転々とし
自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。
かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇し
CDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、
表舞台から離れていた栄伝亜夜20歳。
完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される
名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。
音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンで
コンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。

塵が触媒としての役割しか持たなかったのが
ちょっと残念。
でもそれは別の話として書いていただければうれしい。

☆チョコレートコスモスの続編も早く読みたいです!

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2016/09/23
  • メディア: 単行本



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