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11月の読者 [読書メーター]

11月は少し読書の気分が戻ってきた感じ。

「屍人荘の殺人」前評判通りのおもしろさでした。


11月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:1048


悪いうさぎ悪いうさぎ感想
相変わらずいろいろと巻き込まれる葉村晶。三方向から狙われて足の傷はなかなか治らない。いい年したおっさんたちがいつまでもつるんでるとロクなことにならないわね。本筋以外のトラブルがメインを解りづらくするためのノイズのように感じた。もっと縒りあわさる展開なら印象は違ったと思う。
読了日:11月27日 著者:若竹 七海



屍人荘の殺人屍人荘の殺人感想
見取り図があるとワクワクします。おもしろかった!アレのなんという恐ろしさ。怖くて夜読むのを断念しました。次に殺されると予想された人物がきっちり殺害されるのがとてもよかった。アクロイド的なヤツかなと思わせるようなミスリード。ロジカルな謎解き。正統派のミステリー、楽しませていただきました。
読了日:11月23日 著者:今村 昌弘



下町ロケット ゴースト下町ロケット ゴースト感想
再度裏切られる技術者が不憫です。どうか報われますように。殿村の父が先祖代々守り続けた田んぼに頭を下げる場面。ドラマになるとあれほど神々しい映像になるんですね。山本學さんが素晴らしかった。
読了日:11月07日 著者:池井戸 潤

読書メーター

『かがみの孤城』 辻村深月 [読書]

2018年本屋大賞受賞作。
傑作との誉れ高い作品ですが
わたしは少し疑っていた。
「大人向け」にシフトチェンジして直木賞を獲った作家さんが
もう一度10代を描けるのか。

読み終えて杞憂だとわかりました。
パワーはそのままに
より優しくなって戻ってきたように感じます。
傑作です。

初期の頃の作品が大好きでした。
心揺れる10代の「少し不思議な物語」を
もう辻村さんは書いてくれないだろうと思っていた。
読むことはできないと思っていました。
再会できてほんとうに嬉しいです。



「何人もの読者の方に、この本は
『冷たい校舎の時は止まる』のアンサーだと思いました
と言われました」
・・・著者インタビューより

「大人の描き方が変わった」
「大人と子ども、両方に対してフェアであろうと思いました」


作者の誠実さは物語からきちんと伝わってきました。


lbl レンガ.gif


どこにも行けず部屋に閉じこもっていた“こころ”の目の前で、
ある日突然、鏡が光り始めた。
輝く鏡をくぐり抜けた先の世界には、
似た境遇の7人が集められていた。
9時から17時まで。
時間厳守のその城で、胸に秘めた願いを叶えるため、
7人は隠された鍵を探す―


lbl レンガ.gif


たとえば、夢見る時がある。
転入生がやってくる。
その子はなんでもできる、素敵な子。
クラスで一番、明るくて、優しくて、運動神経がよくて、
しかも、頭もよくて、みんなその子と友達になりたがる。

だけどその子は、たくさんいるクラスメートの中に
私がいることに気づいて、その顔にお日様みたいな眩しく、
優しい微笑みをふわーっと浮かべる。
私に近づき、「こころちゃん、ひさしぶり!」と挨拶をする。
周りの子がみんな息を呑む中、
「前から知ってるの。ね?」と私に目配せをする。
みんなの知らないところで、私たちは、もう、友達。
ーーー 中略 ---
だからもう、私は一人じゃない。

そんな奇跡が起きたらいいと、ずっと、願っている。

そんな奇跡が起きないことは、知っている。


冒頭の文章。
ここを読んだだけで胸がチクッとなる。
はるか昔10代だった頃の教室を思い出してしまう。
当時の私も願っていた。
そして奇跡が起きないこともこころと同じように知っていた。


しかし作者は奇跡を起こしてくれました。


rain-101 はっぱ.gif


中学一年生の“安西こころ”は
4月だけしか学校に行っていない。

「教室で流れている時間から、こころは振り落とされたのだ。」

たちすくみ身動き取れないこころの前に
不思議な城とそこに集められた中学生たちが現れる。


中学生になったばかりのこころはまだ狭い世界にいる。
新しい出会いがあるはずだった学校という場所から
いきなり暴力的に遮断されてしまった。
作者はこころに鏡を通り抜けた先にある
城という場所を用意する。
城でのやりとりは現実世界のこころを後押しします。

終盤の怒涛の展開から
奇跡が起こるラストまで読む手が止まらなかった。


おだやかなエピローグ。
心のどこかに痕跡はかならず残っているはず。


誠実に寄り添ってくれる大人
同い年なのに別の視点を持っているクラスメイト
こころは出会えて幸運です。


どうか立ちすくんでいる子どもたちが
何らかの出会いで救われますようにと
祈らずにはいられません。


* * *


すべてが終わった後の思いがけない彼の言葉。
最後に救われたのはあの女の子だったのでしょう。

「善処する」



以下、つらつらと自分語りのようなことを

あの頃の私が感じていたことを
こんなに的確な言葉で、
何十年もたってから受け取ることができるなんて・・・




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タグ:辻村深月

『あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続』 宮部みゆき [読書]

江戸は神田の筋違御門先にある袋物屋の三島屋で、
“おちか”は風変わりな百物語を続ける。
シリーズ第一期完結編
「完結編」・・・ってどういうことだろうと読みはじめる。


「そうだ。聞き捨て、聞き捨てと言いながら、
おちかはこの三年間、
黒白の間で語られた話を受け止めることによって変わってきた。
いや、「変わらなければ聞き捨てにできなかった」というべきか。
だが富次郎は、客の語りを絵に描くことで、
一つの怪異をしまいにする。
おちかが、「大丈夫ですよ」なんて
偉そうなことを口に出して言えるようになったのも、
富次郎が話を絵にして封じてくれるからこそなのかもしれない。」
(あやかし草紙より)


第一話 開けずの間
塩断ちが元凶で行き逢い神を呼び込んでしまい、
家族が次々と不幸に見舞われる。


おそろしい話でした。
行き逢い神から逃げ切るのは至難の業。
黒白の間を訪れてよかったですね。
『塩断ち』という言葉に激しく反応し
妻を過剰に責めたのは
行き逢い神の力が影響したのでしょうか。
最後の一行までおそろしかったです。

第二話 だんまり姫
亡者を起こすという“もんも声”を持った女中が
大名家の葬られた過去に向き合う。

一番好きな話です。
おせいのお故郷訛りが心地よいです。
「もんも声の主は、その力が
世のため人のためになるから生まれてくる。」
「お役を果たすための命」

幼いおせいに心得を教えてくれる大刀自様。

この教えがなかったら生きていくのはもっと困難だったでしょう。
「大国のお殿様のお役に立つかもしらん」

小さな男子の姿をした「花兜城の城主」
抗うことを許されなかった男の子の悲しみは
『この世の春』を思い出します。

「一座と共に旅し、その土地の災いを
一身に集める形代となろう。」

幼き城主は解き放たれ姫君の声は戻ってきた。
おせいは立派にお役目を果たしました。


第三話 面の家
屋敷の奥に封じられた面の
監視役として雇われた女中の告白


第四話 あやかし草紙
百両という破格で写本を請け負った男の
数奇な運命が語られる

語り手は瓢箪古堂の若旦那・勘一
勘一はすべてを語ってないのではとおちかは訝る。
納得できない。
勘一の穏やかな眼差しの奥には、
まだ隠されているものがあるような気がしてたまらない。
「でもわたし、気になるんです」

次の語り手はめでたく古稀も通り越したという婆様。
都合六度も嫁にいったという数奇なお話。
死ぬのがこわくないという婆様の
長閑な笑顔と、動じない物腰。
「___ わたし、同じような人を知ってる。」
「それこそこの婆様とそっくりの、
つかみどころのない飄々とした人を知っている。」


勘一の話は終わっていない。
しかしそれを聞き出すにはよっぽどの覚悟が必要になる。
さて、おちかはどうするのか。


第五話 金目の猫
三島屋の長男・伊一郎が幼い頃に遭遇した不思議な話
そしてシリーズ第一期を完結させるに
ふさわしい出来事で終わります。




以下、未読のかたはご注意を

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タグ:宮部みゆき
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